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児童精神科医さわ先生が伝える「親子関係が変わる親のあり方」とは

子どもから大人まで「心」に関する病気や症状を診断し、改善に導く精神科医として従事されている「さわ先生」。

現在さわ先生はSNSなどで子育ての悩みや精神疾患の症状、発達障害といったものの情報も発信されており、2024年4月、書籍『子どもが本当に思っていること』も発売中です。

そんなさわ先生にお話をうかがいました。

 

精神科医としてクリニックの院長として、シングルマザーとして2人の娘の母として

精神科の勤務医として働きながらシングルマザーとして2人の娘の子育てを行っていたさわ先生は、長女の不登校と発達障害の診断を機に「自分と同じような子どもの発達特性や不登校に悩む親御さんの支えになりたい」という想いから、従事していた精神病院を辞職。

2021年3月に名古屋市で「塩釜口こころクリニック」を開業し、2022年からは多くの方の目に触れるYouTubeをはじめ、現在ではInstagramやTikTokといったSNSで情報を発信。

YouTubeチャンネルでは100万再生を超える動画も複数あるなど、世の中の発達障害や精神疾患を持つ当人や親から支持されています。

さわ先生はSNSで情報発信を行うようになったきっかけについて、次のように話してくださりました。

「精神科は通うことを躊躇してしまう方がたくさんいらっしゃる診療科で、過去にあった偏見などはかなり減ってきてはいるのですが、実際に診療していると子どもは通いたいのに親御さんが連れていってくれなかったり、夫婦間でも意見が分かれることも多いなど、心理的なハードルはまだまだ高いため、もっと身近に感じてほしくてSNS等で発信しています」

未だ敷居が高いからこそ、もっと知ってほしいためにも発信されているとのこと。

「ホームなどで顔を出すことで安心して通ってもらえると聞いたことがあったのと、顔だけじゃなく動画でも『こんな先生だったら相談しやすいかも』と、1人でも多くの方に思ってもらえたらと始めました」

さわ先生はSNSでの発信だけでなく、2024年4月にはじめての著書『子どもが本当に思っていること』を日本実業出版社より出版。現在重版7回と、子育てに悩むお母さん方からもとても大きな反響に。

この本では、子育てが不安なお母さんに、さわ先生がやさしい語り口で「ありのままの子どもを愛して欲しい」「子どもの存在そのものを祝福して、肯定してあげて欲しい」という想いを綴っています。

じつは、さわ先生は本を読むことが苦手で、だからこそ編集者と二人三脚で、どうやったら自分のような本を読むのが苦手な人にも読んでもらえるかと試行錯誤しながらの本づくりだったそうです。

本の反響について、さわ先生にうかがってみると、次のように答えてくれました。

「この本は、何も完璧な子育てをしようと語っているのではまったくなく、私自身の人生において母親との関係で苦しかったことや、一筋縄ではいかなかった自分の子育ても赤裸々に綴っているところが共感をしてもらえているのかなと思います」

 

無意識にやってしまう子どもを不安・抑圧させる接し方

本の中でさわ先生は、これまでの診療ももとに「子どもが本当に思っていること」や「無意識に親が行っている、子どもの行動を抑圧する行動」も紹介しています。

「子どもを抑圧してしまう行動」をしないようにするポイントを聞きました。

子どもの頃、多くの人が「勉強しなさい」「宿題しなさい」「学校に行きなさい」などと親に叱られた経験があるはず。

「そんなふうに子どもに何かを伝える時に、“それは(親である)自分が不安だから言ってないかな?”という視点を持つことです。たとえば『学校は行くべき!』『勉強はするべき!』と子どもに言いたくなったとして、“それって本当に正しいのかな?”と、自分の中で振り返る習慣を持ってみてください。これは、私自身が意識して実践していることでもありますね」

ほかにも「小さい時から塾に通って私立の学校に入る」「良い大学に入る」「医者や公務員などの職に就いて欲しい」などと、自分の不安を解消するために子どもをコントロールしようとしていないか、子どもへ命令する前にぜひ一度振り返ってみてください。

そして、子どもを親の思いどおりにコントロールするのではなく、子どもが自分の足で人生を歩んでいけるようにすることが親の役割であると、著書でも語られています。

 

親子関係が変わる「今からできる、子どもとのコミュニケーション」

親子関係が変わり、子どもが安心するコミュニケーションのポイントについてもうかがいました。

さわ先生は、少し考えながら、こんなふうに教えてくださりました。

「子どものことを100%理解する必要はないんですよ。だって子どもとはいえ自分ではありませんから。まず全部分かろうとしても無理なんです。逆に言えば“分かろうとするから不安になる”んです」

たとえば、子どもが勉強もせずに、昆虫採集に夢中になっているとしたら「大丈夫?」と不安に思ってしまうお母さんに対して、さわ先生はこんなアドバイスも。

「わからないからといって、不安になり過ぎないことが大事です。わからないことがあったら『自分が知らない世界を見せてくれているんだ』という視点に立つようにしましょう。そうやって子どもの世界を楽しめるようになると、子ども自身も『自分のことをわかってくれている』と安心します」

 

「完璧なお母さんを目指さない」

子どもと親は別々の人間であり、それぞれが持つ価値観も異なり、生きていく人生も当然異なります。

しかし「子どもには苦労をさせたくない」「こうしておけば後々楽になるから」と子どもの意思を無視して良かれと思って正しい道へ導こうとした、またはしている人も多いのではないでしょうか。そんなお母さん方に、さわ先生はこう言います。

「“完璧なお母さん”を目指さないで欲しいですし、失敗する姿を見せながらもそれをどう乗り越えていくのか、というのが人生だと思います。人間らしく“対等に”、子どもとの人生を楽しんでもらいたいですね。それに子育てはいつからでもやり直せますから」

現在3万部を突破し、台湾、韓国に続き、中国の出版社から翻訳本のオファーが届くなどのベストセラーとなっている『子どもが本当に思っていること』。

日々の子育て悩んでいるお母さんは、ぜひさわ先生の本を読んでみてください。

 

書籍詳細

●児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること

出版社:日本実業出版社
発売日:2024年4月12日
単行本(ソフトカバー):256ページ
ISBN-10:4534060955
ISBN-13:978-4534060952
寸法:1.8 x 13 x 18.8cm

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