インドネシアにある、日本から5000km離れたインドネシア東部の村「ラマレラ村」の鯨漁に密着して映像化し、2021年11月5日から始まったグアム国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した映画「くじらびと」の監督で写真家の石川梵氏が、2022年1月5日に日本映画撮影監督協会が開催している第30回JSC賞の受賞式にオンライン出席しました。
また、同日に大阪・吹田市にある大和大学にて、同大学社会学部の1年生を対象とした特別授業に講師として登壇しました。
「くじらびと」の石川梵監督が大和大学で特別講義
石川梵氏は、写真家として30年間に渡り、世界7大陸で戦場から生存捕鯨まで大地と祈りをテーマに撮影を行っており、その経験を生かして2015年からドキュメンタリー映画監督、撮影監督として世界をフィールドに映画制作活動を行っています。
今回自身2作目となる映画「くじらびと」は、日本から5000km離れたインドネシア東部にある「レンバダ島」のラマレラ村に住む住人たちの鯨漁・マンタ漁文化や自然と共に生きる人々の姿を写したドキュメンタリー映画です。
この作品は、2021年11月5日から開催されたグアム国際映画祭で「最優秀ドキュメンタリー賞」を受賞するなど世界でも高い評価を得ているだけでなく、幸福の黄色いハンカチなどの代表作で知られる山田洋次監督から
「インドネシアの小さな島に何年も通って作り上げたこの作品を見ていると、美しい映像から吹き出す石川監督の凄まじいエネルギーにぼくは圧倒される」
と絶賛のコメントもされる程の作品となっています。
その石川監督が、大阪・吹田市にある大和大学にて特別講義を実施。社会学部に所属する1年生約200名の前で、社旗学部社会学科の教授を務める佐々木正明氏と共に授業を行いました。
くじらびとを題材にし、舞台となったラマレラ村の文化や撮影の裏側などを語りながら、学生たちに向けて様々なメッッセージを送っていました。
鯨の背中に刺さったモリに捕まり、あやうく深海に連れ去られてしまうところだったり、鯨を牽引するロープに危うく巻き込まれて海に叩きつけられるところだったという危険なエピソードや、超長期間の滞在にも関わらず、なぜか異国の食べ物・飲み物を口にしていてもお腹を壊さなかったなどの映画の背景を語りながら、90分という短い時間にも関わらず、非常に濃密な授業を受けた大和大学の生徒たち。
ドキュメンタリーとは”現実との関わりである”と語った石川氏は最後に生徒たちに向け、
「SNSやインターネットといった仮想空間だけではなく、実際に色々なものを見たり触れ合ったりして、現実にあるものに触れて欲しい。そんな現実世界との関わりをして欲しい」
とメッセージを送りました。
日本JSC賞を受賞
また、東京都内では日本映画撮影監督協会が開催した第30回JSC賞を石川氏が受賞することになり、この1月5日の大和大学での講義の後に、オンラインにて石川氏が参加。
大和大学にて表彰状の授与や盾の贈与と共に、オンライン参加をして、コメントを出されていました。
石川氏は、
「鯨漁は異国の珍しい文化ではなく、かつて日本でも行われて来たもので、まるでタイムマシーンで昔に戻って見ているようなものを、ちゃんと記録として残すことが出来たというのは非常に嬉しく思っています。
また、いかに言葉ではなく映像として表現するかにこだわってナレーションを使わないという部分が、評価されたのではないかと思います。
この映えある賞を頂き、評価されたということを非常に感謝しております」
とコメントされていました。
また、佐々木教授からもサポーターとして祝いの言葉をコメントしただけでなく、学生へ語りかけるような内容として石川氏への祝言として語られました。
「1日10時間、カメラを回してどんなシーンも見逃さないという姿勢でも鯨が中々撮れなかった。これは人生において何かを成し遂げる時の縮図なのではないかと思います。人生の先輩として、教師として僕が言いたいことは、決して諦めないでください。必ず日が差す時が来ます」
などと学生へ熱いメッセージを送っていました。
くじらびとは、ラマレラ村に生きる人たちにとって生活と密着する「鯨と生きる」という、鯨への敬意や敬い、そして鯨との臨場感ある戦い、生きていく上での楽しさ・嬉しさ・悲しさといった、ラマレラ村の全てが詰まっている作品。
国内や世界でも評価が高いこの作品を、ぜひチェックしてみてください。大阪では十三のシアターセブンにて1月7日まで公開予定となっているので、ぜひお近くに立ち寄る予定がある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。