株式会社ファーストリテイリングがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と取り組んでいる『届けよう、服のチカラ』プロジェクト。
本プロジェクトは、子どもたちが主体となって、校内や地域で着なくなった子ども服を回収し、難民などの服を必要とする人々に届けられる参加型の学習プログラムです。
この度『届けよう、服のチカラ』プロジェクトに参加された796校から、優秀賞に選ばれた6校の表彰式が行われました。
“届けよう、服のチカラ”アワード
審査員には、東京大学大学院教育学研究科 教授 北村友人氏。

国連UNHCR協会 広報啓発事業/難民高等教育プログラム担当 天沼耕平氏。

小学校教諭/東京大学 客員研究員 正頭英和氏。

このお三方によって、優秀賞に選ばれた6校の中から最優秀賞が選ばれました。
“届けよう、服のチカラ”プロジェクトの活動発表の様子をお届けします。
中学校・特別支援学校の部
1校目は、洛南高等学校附属中学校の発表です。

洛南高等学校附属中学校が掲げたテーマは『世界を知り、今の自分にできることを実践する』
このテーマを実践するにあたって「know=知る、act=行動する、connect=繋がる」という三本柱を設定されました。

プロジェクトの出張授業を受けて、難民問題や服を回収する意義について理解を深めるところから始め、服には人を寒さや怪我から守り、人を笑顔に、世界を平和にする大きな力があることを学べたと発表。
さらにクラスメートからは、
「難民について初めて知って驚いた。」
などの声が出たのだそうです。

さらに理解を深めていくにつれて、
「世界にいる難民の40%が18歳未満であることを知り、難民問題は身近なものであると感じました。」
と自分事として捉えられたと説明。
これらの学習成果をレポートやポスターにまとめ、文化祭で展示し発表まで行ったことを報告。

そして服が集まるのを待つだけでなく、小中高一貫の縦のつながりを生かすべく全66クラスに直接出向き、またこれまでに1度も交流のなかった保育園や幼稚園の園児にも直接協力を呼び掛けました。

小さい子どもたちに、この企画の趣旨を伝えるのは難しいと感じ、小学校にはポスターを設置。
保育園に設置した回収ボックスは、子どもたちが開けたときに喜ぶ姿を想像して、開けると舌が出る仕組みを発案されました。
「服が私たちの住んでいる地域から、世界に広がっていくことを表現しています。」
と素敵なアイデアで子どもたちにも呼びかけます。
その他にも、紙芝居やパペットを用いて園児たちにとってわかりやすく、より身近に感じやすい表現で伝えていくことを心がけていたのだそう。

最後に、次に繋げていけるような活動として、

園児や小学生と再び触れ合う時間を設けたり、ルワンダ共和国の難民出身の方のお話を聞いたり、現地の小学生とオンラインで国際交流を行ったりすることもできたと説明しました。

「このプロジェクトが新たな繋がりを生み出した瞬間でした。」
と述べ、
「最初はただの作業や与えられた課題として向き合っていた友達も、今ではこの難民問題を自分事として捉えてくれています。私たちにとってこの活動はゴールではなく、新たなスタートです。」
と話し発表を終えました。
続いて、和歌山県立和歌山盲学校の発表です。

「僕は、難民の子どもたちの中に視覚に障害のある子どもはいるのか。この問いが出発点となりました。」
と伝え、
「視覚障害のある子どもたちに、自分の手で服を届けたいという使命感が生まれました。」
と当時の心境を述べます。
そしてテーマには『見えない・見えにくい誰かに、心で届ける服のチカラ』と設定。
音で回収場所を知らせるためのテーマソングの作成や、見えやすい配色ののぼり旗も作成しました。
誰かに選んでもらうのではなく、自分で選べる自由を届けたいという思いから、触覚は服の情報を得る大切な手がかりだと手触りも重視し、洗濯やアイロンをかけて美しい畳み方を学ぶなど、1枚1枚に心を込めて集めていたのだそう。

活動は学部や教科を超えて全校で連携し、その難民支援の場は地域へと広がります。

活動の原点にあるのは、”見えない・見えにくいから心で届ける服のチカラ”という想い。
「この行動が、誰1人取り残さない社会への1歩になれば嬉しいです。」
と伝えスピーチを終えました。
小学生の部
長岡市立宮内小学校はオンラインでの発表です。

「この活動を始めるきっかけは一人のつぶやきからでした。」
と切り出します。
それは能登半島の震災が起きたことで、
「わたしたちに何かできないかな」と考え、義援金活動に取り組み、義援金と応援メッセージを新潟から能登に送ったのだそうです。

さらにはカンボジアに文具を届けたりと、あらゆる活動に取り組む中で、昨年の“届けよう、服のチカラ”プロジェクトに参加しました。

宮内小学校のスローガンは『宮内から世界へ幸せ届けよう!』
「私たちの力で世界の友達を笑顔にする活動をスタートさせました。」
と素敵なスローガンと想いを伝えてくれました。

学校内への呼びかけから、地域の皆さんへと活動範囲を広げていきます。

5つの中学校や、地域の約60軒のお店にポスター掲示まで行っていったそうです。
またお店の前でチラシを配ったり、回収活動にも取り組んでいました。

結果、目標であった3000枚を大きく超える「5707枚」の服を集めることができたと報告。

そして、これまでの活動を通して学んだことを発表してくださいました。
「子どもの私たちにもできることはあるということです。一人ひとりの力は小さくても、みんなの力を合わせれば大きな力になり、周りの人たちを笑顔に、幸せにすることができるということです。そして想いを伝えたら、それに応えてくれる地域の方がいることに気づきました。これからもこの経験を活かして、身の回りの人や世界の友達を笑顔にできる活動に協力していきます。」
と素晴らしい言葉を授けてくださいました。

続きまして、就実小学校の発表です。

『就実から世界に届け!「服のチカラ」プロジェクト』と掲げた就実小学校のチームのスローガンは『仲良く楽しく協力し合い、夢に向かって頑張ろう』

ある数字が提示されました。

この数は、世界中の難民の方々の数です。
難民の方々について知っていくことで、私たちにも何かできないかという想いが芽生えていったのだそう。

学校内での呼びかけと、回収箱やポスターを作る際には、
「折り紙やイラストで目立たせたり、集める服の決まりは書くといいかもと考えながら作りました。」
と創意工夫をこらします。
「全校放送でお知らせした翌日からたくさんの服が集まり、とても嬉しかったです。」
と活動が実を結んだ喜びも語ってくださいます。
さらに学校を飛び出し活動は地域全体へ。

こども園・大学・岡山ふれあいセンター・図書館・玉野市役所へ協力のお願いに行ったのだそう。

そして服を回収し、集める、仕分ける段階に入ります。

ベビー・キッズ春夏・キッズ秋冬の3種類に仕分け、保護者・サポーターの方々にも協力していただいたのだと感謝されていました。

回収箱の中に、服とともに手紙を入れてくださった方がいたそうで、
「地域の方と繋がることで、服を受け取る側だけでなく、服を渡す側も笑顔になれることを知りました。」
と嬉しい報告も。
このプロジェクトを通じて学んだこととして、
「困っている人が世界中にいることを知り、自分たちにもできることがたくさんあって、とっても嬉しかったです。」
「異学年で活動することで、色々な考えや意見を聞くことができました。さらに、地域の人たちが私たちの活動を応援していてくれて嬉しかったです。」
と難民の方々のために取り組んだ活動は、自分たちにも喜びがあったことを伝えてくださいました。
高校生の部
新潟県立村上桜ケ丘高等学校の発表です。

「私たちの取り組みは大きく3つのステップで行いました。」
と紹介します。
ステップ1には世界の子どもについて、まずは知る。

世界の子どもたちの困難な状況を理解するための学習などについて取り組まれたのだそう。
そこから、
「今の自分たちにできることは限られているかもしれないけれど、少しでも多くの子どもたちの幸せに役立ちたいという思いが強まりました。」
と本プロジェクトへの参加経緯を語ります。
ステップ2では、子どもを中心にプロジェクトに親しみを持ち、興味を持ってもらいたいという思いから、オリジナルキャラクターを考え、ポスターやチラシなどを製作。

高校生たちが少し前まで着ていた服など、キッズサイズの服の回収をお願いするため、全校集会で協力を呼び掛けなどが行われました。

そして近隣の保育園だけでなく、小中学校や特別支援学校を訪問した活動を紹介。
ポスターの掲示やチラシの配布、地域のイベントにボランティアとして参加しました。
さらに日頃から交流のある保育園で、活動を紹介する劇を行ったのだそう。

生きるために必要なもの、服の役割や服が届く流れなどを、オリジナルキャラクターで演じました。
とても素敵な取り組みですね。

「地域の子どもたちと同じように、難民の子どもたちも毎日笑顔で過ごし、そして小さなヒーローたちがこれからの世界を変える、大きなヒーローに育ってくれたら嬉しいです。」
という未来への想いも込めて活動。

さらに、地元新聞での活動紹介と動画制作を行い、SNSで発信。地域の方からの問い合わせなどの反響があり、多くの服が集まりました。
もう1つ課題として、対象外の衣服も集まったため、対象外の衣服と授業の余り布を組み合わせてファブリックリースを製作。
世界の平和と子どもたちの幸せを願い、協力いただいた園や学校などにメッセージを添えて送られました。

「多くの方の協力が、服が集まるという目に見える結果でわかり、感謝の気持ちとやりがいを実感しました。」
と感謝を述べ、
「社会や社会と関連づけて、実践につながる高校生活の集大成となりました。小さな1歩が、難民をはじめ世界の子どもたちの笑顔、そして未来の夢や希望につながることを私たちは願っています。」
と訴え発表を締めくくりました。
最後は東京都立小平南高等学校の発表です。

まず、シリアの難民問題や現状、UNHCRの役割について学ぶところから始まったと説明。

その中で、子どもたちが学校に当たり前に通えないという事実は、彼らに大きな衝撃を与えと語りました。
次に、
「シリア人のバナ・アルアべドさんが昨年、国際子ども平和賞を受賞したことを知りました。同世代の若者が世界に向けて平和への思いを発信している姿を知り、自分たちにも何かできることがあるんではないかと思うようになり、この活動に真剣に取り組むんだと思った」
と経緯を話します。

回収場所には近隣の保育園や幼稚園、小中学校にもお願いをして、合計11の施設に受け入れてもらったそう。

わかりやすいポスターを作り、服を入れたくなるようなデザインの回収箱を作成して、子どもたちにも協力したいと思ってもらえるように様々な工夫をされたそうです。
特に保育園などでは、難民について理解してもらうために寸劇やクイズを行って、子どもたちにもわかりやすく伝わるような工夫をした取り組みも行っていました。

積極的な活動によって、当初の目標だった1,580着をはるかに超える「13,588着」を回収。

そして、
「授業で学んだ社会問題を自分事として捉え、行動することの大切さを再認識しました。自分たちもやればできるという自信になり、難民の方々を救える方法があるという希望が見えました。」
と、体験された想いを伝えてくださいました。
また、地域の方々からの称賛の声や、協力していただいた施設の保護者の方からお手紙をいただいたこともあったのだそう。

その中にあった、
「子どもたちが気に入っていた服が、誰か他の子の心を温めることになったら、これほど嬉しいことはありません。」
という言葉にとても励まされたと話します。
そして、
「これをゴールにせず、引き続き難民問題について考え、今回協力していただいた施設の方々との交流を続けて地域に貢献し、今後も新しい支援活動に挑戦していきたいです。」
と意欲を掲げました。
最優秀賞発表
“届けよう、服のチカラ”アワード最優秀賞は、

長岡市立宮内小学校が選ばれました。
宮内小学校の生徒たちは下校してしまっていたので、教諭の方が代わりにオンラインにて表彰されます。
「子どもたちが言っていました。1人の力が小さくても、みんなで力を合わせればどんなことでもできると。このプロジェクトで学んだことは、そういうことなんじゃないかなと思っています。」
とコメント。
そして今年度はダブル受賞ということで東京都立小平南高等学校も最優秀賞を受賞されました。

受賞の感想を聞かれ、
「自分たちだけじゃなくて、学校の生徒のみんなとか、地域のみんなとか、色々な人の協力でいただいた賞なので、とても嬉しいです。」
とコメントされました。
審査員の北村氏は都立小平南高等学校の活動について、
「僕らが1番評価したのは、組織力の力。本当に学校の中もそうだし、地域と連携して本当に大きな組織の力をみんなで作り上げたっていうことに、我々は感銘を受けました。なので、今のお2人のコメントは、まさにそのことを自分たちでも自覚してくれているのかなと思っております。」
そして長岡市立宮内小学校についてもコメント。
「普段の様々な学習の中にしっかりと織り込んだことに、我々審査員は非常に高く評価をいたしました。地域との連携も非常に取られていますので、これを学校内の学び、それから地域との連携という形でさらに発展させていただきたいと、期待を込めての受賞ということになります。」
と讃えました。
続きまして、天沼氏よりUNHCR特別賞の発表がありました。
UNHCR特別賞は新潟県立村上桜ケ丘高等学校です。

「とても素敵な賞をいただき、本当にありがとうございます。この活動するにあたって、周りの仲間をはじめ、先生方や地域の方など、たくさんの協力があったからこその賞だと思っています。たくさんの学びを深められました。」
とコメントされました。
天沼氏は、
「大事にしているのは難民とともにという言葉でもありますし、一人ひとりにできることを自分たちで考えて、難民とともにアクションを起こしていく。中々小学生とか、若い世代にはわかりづらいと思うんですけど、それを馴染みのあるヒーローという形にして、表現して伝えたというところが、とても意味のある活動だったのではないか。」
と、選考の理由を伝えました。
優秀賞に選ばれた3校の方々には正頭氏から表彰。

洛南高等学校附属中学校。

和歌山県立和歌山盲学校。

就実小学校。
正頭氏は、
「こういう物事に優劣をつけるっていうことが適切かどうかはわからないですけれども、でもそこを目指してみんながこう燃えてきたっていう想いは、すごく大事にしてほしいなって思っています。また、難民支援などはここで終わるものではなくて、ずっと続いていくものです。みなさんの中に何か根付いていれば嬉しいなっていうふうに思っております。」
と本プロジェクトに参加された皆さんへ労いの言葉を送られました。
小学生から高校生まで。協力や支援されてきた地域の方を含めると、園児から保護者世代まで幅広い方々の心のこもったプロジェクト。
国境を越えて服のチカラ、自分たちの心を届けるという想いがとても伝わってきた、素敵な発表でした。
私自身も何か力になれるのではないかと、生徒の方々から感化された1日となりました。
”届けよう、服のチカラ”プロジェクト 概要
HP:https://www.uniqlo.com/jp/ja/special-feature/sustainability/power-of-clothing?msockid=1d81721a3585689e36c56112346f69fe









