多くの方が不安や疲労を抱えている現在の情勢下で、健康リテラシーの向上や予防への関心が高まっています。
体の健康を維持するため、自衛するということが当たり前となりつつあり、食による予防がより一層重要視される時代となりました。
健康に必要な栄養素や働きを重視する人が増えていく中で、ユーグレナ(ミドリムシ)だけが生成する、細胞内に貯蔵される多糖体「パラミロン」という成分が大きな注目を集めています。
パラミロンとはどのような成分なのか、そしてどんな効果があるのかを、パラミロン研究会がメディア向けオンラインセミナー形式で発表を行いました。
ユーグレナ(ミドリムシ)が生み出す「パラミロン」の健康効果
ユーグレナは健康に非常に有用であるとされており、現在ユーグレナを使った健康食品やサプリメント、化粧品などが世に出されています。
ユーグレナは別名ミドリムシとも呼ばれる藻の一種で、動物と植物の両方の性質を併せ持っています。
そのため、野菜に含まれるビタミンなどに加え、魚に含まれるDHAなどの成分も含んでおり、その栄養素の数は50以上。栄養が不足しがちな、偏食になりやすい現代人の栄養補給にぴったりな存在と言えます。
健康的な生活に欠かせない栄養素を、植物・動物のものを両方持つという驚異の存在であるユーグレナですが、今回注目を集め、いまなお研究がされている成分が「パラミロン」という多糖体です。
「パラミロン」とは?
光合成をして動き回るユーグレナの中には、多糖体(デンプン、食物繊維なども多糖体の一種)を見つけることが出来ます。それがパラミロンです。
パラミロン研究会の会長である矢澤一良先生は、このユーグレナ内に生成される多糖体「パラミロン」の研究の結果、腸に作用して「細胞の酸化抑制」「免疫細胞の活性化」などの効果をもたらすことが、科学的に証明されてきていると説明しました。
他にも、栄養学的にも肥満や大腸炎、肝障害にインフルエンザといった多数の効果が見込めるということも説明しています。
上記画像が、パラミロンの研究結果。凄まじい量の効果が出るということが分かっています。
そして今回の発表では、現在の情勢下で生まれた新たな「不安疲労」にも効果があると説明しています。
不安疲労とパラミロン
不安疲労とは、現在の長引く情勢により大きなストレスが掛かることで、体に影響が出ることを指します。
具体的には
・中枢神経-自律神経系
・免疫-炎症系
・ホルモン-代謝系
これらに影響を与えるということが分かっており、上記で記載した重要な器官に影響を与えるものが不安疲労と呼ばれるものと解説しました。
現在パラミロン研究会の調査によると、半数以上の方がこの不安疲労を感じているとのことで、大きな影響が心身ともに現れていることが分かります。
解説してくれている久保明先生によると、この不安疲労にもパラミロンが有効であると話しました。
研究結果によると、身体的・精神的な疲労感をパラミロンが低減してくれることが検証されているとのこと。
さらに、健康な成人においては、ストレスによって抑えられていた副交感神経の機能を回復する効果や、健康な成人よりもより負荷の高いプロアスリートにおいても、身体的・精神的な疲労が回復していることが分かったとのこと。
これだけの効果のほかに、男性ホルモンの一種であるテストステロンも少し改善するという副次効果もあることが検証されたと説明しています。
腸ツボとパラミロン
京都府立医科大学大学院医学研究科の消化器病専門医であり、パラミロン研究会理事も務める内藤裕二先生は、脳と腸が相互に作用する「脳腸相関」という部分について着目。
脳のシグナルは腸に伝わり、腸のシグナルは脳に伝わるという深い関係があることが医学的に古くから研究されていることを紹介。
月曜日の朝に仕事に行きたくなくなったり、駅のトイレに駆け込みたくなる下痢型の過敏性腸症候群や、逆に便秘などの便通異常が発生するメカニズムとして、ストレスが大きな影響を与えていることを説明しました。
日本人は胃腸が弱いという認識は多くの方が知っているかと思いますが、これがストレスに関係していることが紐付けられています。
そして、この腸の異常がシグナルとして脳にも作用し、うつ病など様々な影響を与えることも解説。
腸は第二の脳という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、実は腸には独自の神経系があり、脳の指令がなくとも独立して稼働します。
その稼働の一方で、脳と腸はお互いに作用し合っているということを解説しています。
では、この脳と腸の健康にパラミロンがどのような作用をもたらすのかというと、腸にあるセンサーの役割を持つ、いわゆる「腸ツボ」に刺激を与え、それが脳にも影響を与える可能性があるのではないかということが判明したのです。
近年、腸管粘膜にある受容体(腸ツボ)が物理的・化学的に刺激されると神経系・免疫系・内分泌系の細胞が活性化することが分かってきました。
まだまだブラックボックス、つまり解明されていない過程があるものの、多糖体であるパラミロンが腸ツボを刺激することで、身体的・精神的な疲労軽減効果があるとのこと。
腸内で分解されることもなく、腸内細菌に影響を与えることもなく、短鎖脂肪酸(腸内細菌が作る有機成分の酸)の産生に影響することもないというデータが出ているため、これからの研究で解明する必要があるものの、人で有用な影響が出ていることはデータが揃っています。
またパラミロンの摂取で、病原体から体を守るために重要な働きをする免疫である「グロブリンA(s-IgA)」の分泌量が増加、免疫力の向上が確認されていることも解説し、単純な球体形状の粒子成分ではこのようなことは起きず、パラミロンの構造が重要なのではないかと考えていると説明。
これまでのデータではまだまだ不足しているものの、パラミロンが何らかの腸ツボ刺激を行い、様々な効果が出ていると言わざるを得ないと内藤先生は発表しました。
ユーグレナ(ミドリムシ)の体内でのみ生成されるパラミロンの健康効果は、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究結果が待ち望まれる成分。
これだけの効果があるパラミロンを簡単に摂取出来るような健康食品やサプリメントが手軽に購入出来るようになって欲しいということと、このパラミロンの効能がどうやって出ているのかの解明も待たれます。
パラミロン研究会の今後の発表にも注目です。