大量生産・大量消費・大量廃棄を繰り返してきたファッション産業は、世界でも2位の環境汚染産業であるとも言われている。
その現状を変えるべく、近年「サステナブルファッション」を含めた様々な取り組みが業界全体へ広がっています。
生地への徹底したこだわりとテーラー監修のデザインで話題となっているDtoCブランド「+CLOTHET(クロスクローゼット)」も、これまで廃棄処分されてきた裁断くずを再利用したサステナブルな取り組みの一環で開発したTシャツとソックスを販売することを発表しました。
「+CLOTHET」リサイクルスビンプロジェクトからTシャツ・ソックスが発売
+CLOTHET(クロスクローゼット)とは
“世界中の素晴らしい⽣地(CLOTH)をあなたのクローゼット(CLOSET)に届けたい”という思いから、2018年にスタートした+CLOTHET(クロスクローゼット)は、約150年の歴史をもつ生地サプライヤーであるスタイレム瀧定大阪株式会社が原材料の調達から生地開発、製造までを⼀貫して⾏うブランド。
デザイン、パターンは業界で活躍している若手テーラーが監修。
ブランド名「+CLOTHET」には、生地(CLOTH)と交わる(CROSS)からなるクロス(+)と、生地(CLOTH)とクローゼット(CLOSET)を組み合わせた造語の(CLOTHET)という2つの意味が込められています。
2023年5月でブランドローンチ5周年を迎えた+CLOTHETの代表商品は、細部にまでこだわり素材の良さを最大限に引き出したTシャツ「スビンプラチナムスムース テーラードTシャツ」。
綿花の繊維の長さが35㎜以上の超長綿において特に繊維長が長く、その希少性で世界トップクラスと称される「SUVIN(スビン)」のなかでも最高品質の“ファーストピック(初摘み)”だけを糸にしたものから作られる代表素材「SUVIN PLATINUM(スビンプラチナム)」から作られ、累計販売実績は3万枚を記録しています。
着心地が良く格好良いTシャツは、1枚は持っておきたいアイテム。夏は1枚で、冬はインナーで活躍する万能さはヘビロテ必至。
素材感やサイズ感で格好良く見えるどうかが決まりますが、スビンプラチナムスムース テーラードTシャツは3万着売れたというのも納得のこだわりを感じます。
リサイクルプロジェクト発足の経緯
今回のサステナブルプロジェクトでは、年間約1万枚の販売実績のあるスビンプラチナムを使ったTシャツを生産する際に発生する、裁断くずを再利用したTシャツとソックスを開発したことを発表しました。
裁断くずは服を作る上で切っても切れない問題。1着作る際には少量でも、それが1000着、1万着と積み重なっていけば何トンにもなる“衣料ロス”の原因になっています。
生地の面積に対してパターン(型紙)がどれだけ効率良く収まっているかを収率と呼ぶそうですが、+CLOTHETの顔ともいえるスビンプラチナムのTシャツではそれが平均70%。残りの30%となる端切れ部分はこれまで裁断くずとして廃棄処分されていたそう。
「せっかくの素晴らしい繊維がムダになってしまうのはもったいない」という想いがあり、+CLOTHETの企画チームでは以前からなにかアクションを起こそうと考えていたそう。
世界的なサステナビリティへの関心の高まりもあり、使用済みの衣服や生産の過程で生じてしまう生地の端切れなどを回収し、原料として再利用する動きが活発化。
従来は元の生地よりも粗い生地となってしまうため、軍手や帆布などでの活用が殆どだったそうですが、最新の紡績技術によって糸の品質が向上したことを受け、+CLOTHETでも協力工場の賛同を得てこの取り組みを開始したと説明しています。
しかし、現在の技術では紡績の際に新しい繊維原料を混ぜ合わせることが必要となってしまい、オリジナルの糸の特性を再現することは不可能なのだとか。
そのため、今回のプロジェクトにおけるリサイクル糸も、従来のスビンプラチナムのような繊細でとろけるような柔らかなタッチにはならず、別物と捉えなければいけないそう。
完成した「Recycled Suvin(リサイクルスビン)」はスビンプラチナムとはまったく違う味わい深い表情となり、+CLOTHETではこれをいままで手がけてこなかったアイテムに挑戦し、ブランドの世界観を広げていくチャンスだと捉えたと説明しています。
Tシャツ・ソックスの2種が7月1日より発売
このリサイクルスビンを使ったTシャツは、ジャケットの下に着て美しく映える定番人気の「Tailored T-shirts(テーラードTシャツ)」に対して、カジュアルな感じに1枚で着ることをイメージ。
目を詰めて天竺編みで編み立てたしっかりとした生地は、洗練された都会的な雰囲気をキープしながら、着込むほどに味わいの増すアメカジ調のテイストも併せ持っています。そのため、テーラードTシャツよりもシルエットをひとまわり大きくし、アイコンだった前振り袖や裾のスリットなどはあえて排除。
洗濯してもヨレずに型くずれしにくいタフでコシのある風合いは、デニムやジョガーパンツなどのボトムスとも相性が良さそうなアイテムとなっています。
一方のソックスは、いまやビジネスシーンでも珍しくなくなったスニーカースタイル向けに以前から展開を考えていたもので、内側の前のほうをパイル地にするなど、履き心地を重視したつくりを特徴。
さらに糸の特長を考えると、カジュアルな裏毛のスウェットシャツやフーディー、あるいは少し粗野な素材感を生かした製品染めなどにも相性が良さそうなことから、今後に向けた商品作りのアイデアがどんどん膨らんでいると説明しています。
商品詳細
●Recycled Suvin T-shirt
価格:8,800円(税込)
●Recycled Suvin Socks
価格:1,650円(税込)
●販売:2023年7月1日より+CLOTHETのONLINE STOREにて販売。
希少な繊維をムダにしたくないという想いから生まれたリサイクルプロジェクトから、環境負荷を低減するべく作られた今回のTシャツとソックス。
興味がある方は+CLOTHETのオンラインストアをぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
オンラインストア:https://crossclothet.jp