今年、激しく盛り上がりそうなテニス界!
出典:ウインブルドン公式サイト ATPファイナルズの様子。
大坂なおみ選手が全豪オープン優勝!
先日の大坂選手の優勝はしびれましたね!これで彼女はツアーのシングルスで7勝、グランドスラムでは全米・全豪で2勝づつ、計4勝目を挙げました!良績がハードコートに偏っており、今後の課題は他のサーフェスの克服でしょうか。
今年は予定通りならば、東京オリンピックも開催されます。会場となる有明テニスの森公園のコートは、大坂選手の得意とするハードコート。一部では金メダルの確率96%という予想まで…これはグラフ以来のゴールデンスラムの可能性もあるのではないでしょうか?
さて、昨今にわかに熱を帯びて参りました、テニスの話題。グランドスラムって?ゴールデンスラム?という方、なんとな〜く知ってるよという方、いらっしゃると思います。
今週の連載は、テニス観戦を楽しむちょっとした知識を簡単に解説していきたいと思います!
テニスの4大大会「グランドスラム」
「グランドスラム」とは、ウィンブルドン・全豪オープン・全仏オープン・全米オープンというテニス界の世界4大大会のことです。また、選手が4大大会を優勝することもグランドスラムといいます。グランドスラムを全てに優勝することがテニス選手の最大目標になります。
一年間で全ての大会に優勝する事を”年間グランドスラム”と呼び、これまでに男女合わせて5名しか達成していない大偉業です。そして”キャリアグランドスラム”とは現役生活の間に全ての大会を制覇することを指します。
これまでにシングルスでは男子8名・女子10名がこの偉業を達成しています。現役選手では男子のロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチが名を連ねています。女子では今後の去就も注目されるセリーナ・ウィリアムスもその達成者です。
ちなみに、世界初のグランドスラムの達成は”キャリアグランドスラム”。達成者は、”英国のテニスの神様”として名高いフレデリック・ジョン・ペリー。あのフレッド・ペリーです。彼は19歳で、卓球の世界チャンピオンとなり、翌年テニスへ転向したという異色の経歴の持ち主でした。転向後5年でグランドスラムを達成した猛者。引退後には自身の名を冠したスポーツウェアブランドを立上げ、現代ではファッションブランドとしてその地位を確立しています。
さらに、グランドスラムに加えてオリンピックでの優勝も加えたのが「ゴールデンスラム」と呼ばれ、これまでに4名の選手が達成しています。唯一、1988年にこれを年間で達成したのがドイツの女子選手のシュテフィ・グラフ。大坂選手も先日の全豪優勝で、ここに名を連ねる権利を得たんですね!
それでは以下より各大会の特徴を紹介して参ります。
ウインブルドン
出典:ウインブルドン公式サイト
イギリス・ロンドンの郊外ウィンブルドンで開催される大会。120年以上の歴史と伝統を誇り、テニス界の権威といえる大会です。選手は(公式練習でも)白いウェア、医療用を含む装具も白の着用が義務付けられるなど、特別な雰囲気の中で行われています。観客にも公式ではないもののドレスコードがあり、センターコートのロイヤルボックスでは男性はジャケット・タイ、女性は視界を妨げる帽子の禁止などがあります。
「センターコート」には、2009年に開閉式の屋根が取り付けられました。サーフェスはグラス(芝)コート。
全豪オープン
出典:全豪オープン公式サイト
南半球の真夏、毎年1月にオーストラリア・メルボルンにて開催される、シーズン最初のグランドスラム。平均気温は25℃ですが、時々40℃を超える日もあり、「エクストリーム・ヒート・ポリシー」という独自の基準で会場の屋根の開閉や試合の中断をする等、対策を取っています。地元のファンの歓迎ムードもあり、選手の間でも人気の高い大会となっています。
センターコートは開閉式屋根を持つ「ロッド・レーバー アリーナ」。サーフェスはハードコート。特徴的な青いコートは2008年に導入されました。
全仏オープン
出典:全仏オープン公式サイト
初夏にパリの西端、ローランギャロスで開催される大会。フランスのスポーツは競馬の凱旋門賞に代表される様に、観客も華やかで優雅なスタイルの方が多いですね。全仏オープンにはドレスコードはないものの、審判やボールボーイ、観客に至るまでスマートカジュアルが推奨されお洒落な雰囲気で開催されます。
大会グッズの人気も最も高く、公式サイトにも提携ブランドのおすすめが記載されていたりします。
センターコートは「コート フィリップ・シャトリエ」。サーフェスはクレーコート。
全米オープン
出典:全米オープン公式サイト
真夏のアメリカ・ニューヨーク郊外フラッシングメドウズにて開催される。ニューヨークの中心街から電車で1時間もかからず、アクセスも非常に良い立地です。セレブリティの多くがナイトセッションに訪れることでも有名で、モニターに映し出され大歓声という場面も多々あります。真夏の開催でドレスコードにはうるさく無いのですが、リュックサックNGなど、持ち物検査がかなり厳しくなっています。ブルーのコートは2005年の本大会で世界初のお目見え。それからハードコートの世界のスタンダードはブルーになっていきました。
センターコートは「アーサー・アッシュ スタジアム」。サーフェスはハードコート。
ザックリとした紹介でしたが、各大会の概要は掴んでもらえたんじゃないでしょうか。
え?サーフェスって何?なるほどなるほど、それではサーフェスについても簡単に解説して参りませう!
コートの材質、サーフェス
文中のサーフェスとは、コートの床面の材質のことで、バウンドの高さや球足に違いがあります。主なサーフェスはクレー、グラス、ハードの3種類。選手個々で得意なコート苦手なコートがあったりするので、選手のコート適正にも注目して試合を見るのも面白いですよ!
クレーコート
クレーは球足が遅く、バウンドが高くスピンが掛かりやすいのが特徴です。このため、弾丸サーブやスマッシュで決めるのが難しく、文字通り泥臭く粘るプレイができる選手に向いています。「クレーキング」の異名を持つナダル選手がその代表で、彼のクレーでの生涯勝率は驚異の92%!現役・引退選手を含めてもダントツの数字です。
また、クレーは土のコートのため滑りやすく、踏み込みでスライドしながら打ち返したりという技術がマストとなります。その影響や湿度の関係などからイレギュラーバウンドが起こりやすいという側面もあります。
グラスコート
芝です。見栄えも非常に良いです。特徴としては球足の速さと弾道の低さが挙げられます。クレーとは逆にサーブ、サーブ&ボレーの得意な選手に向いています。
しかしながら、芝はメンテナンスが本当に大変で、大会の後半になると選手の走り回ったベースライン付近から剥げていってしまい、最終日にはネット付近以外は茶色い地がでているなんてこともザラです。諸行無常の感がありますね。
ハードコート
上記2つのコートの中間的な存在で、イレギュラーバウンドが起こりづらい材質です。コンクリートをアクリル素材などで覆ったものです。比較的メンテナンスも簡単で、プロの大会で使われることが一番多いコートです。
オムニコート
日本で一番よく見かけるコートではないでしょうか、日本の気候に最も適していると言われているコートです。砂の撒かれた人工芝のコートで、水捌けも非常によく全天候型と呼ばれることもあります。ハードコートと比べ、球足は遅くバウンドも低いことから、日本のテニスレベルが世界のスタンダードに届かない原因という専門家もいます。
世界の一線での戦いが競技熱を上げていく
以上が「プロテニス、これだけ知ってたら結構楽しめる」の解説でした!(笑)
大坂選手が優勝後のインタビューでハード以外のコートでもパフォーマンスに自信がある。と仰っていました。トッププロの世界はそんなに簡単な物ではありませんし、苦難も多いことでしょう。それでも、我々に期待させてしまうのが大坂選手。また彼女のあの弾ける笑顔をみせて欲しいですね!
出典:全豪オープン公式サイト